教育力

斎藤孝『教育力』岩波新書】全体的に論拠が見られず,経験値と熱い思いを語っているだけのように読めた。

参考になった点:「コミットメントする」「場を見る力」など今の自分に沿うところがあってよかった。芸術の入門書が紹介されていたところ。よいテキストを編むこと。教科書をベースに,自分でテキストを編む気概。

違和感:主張に一貫性がない。例として,ストップウォッチを使わないでやる授業は論外,と言っておきながら時間延長して熱く教えてその場では生徒はうんざりしても後で良かったと思ってもらえる授業がよい,ともあるのは矛盾では?こういう矛盾が多かった。つまり著者の主張には依って立つ理論がない。(少なくとも私には見えなかった。)

学んだ,というより,知識を得た,という感想。「教える」ことへの著者の情熱はすごく感じた。

大学の先生が書く,ご自分の経験からの授業論は,やはり生徒の前提条件が大いに違っていて,高尚だなあと思うことが多い。超進学校向けというか…でも,目の前の生徒の可能性を信じて(方法論はいろいろあるとしても)やってみるのも大事だ,と受け取ることにしている。生徒の能力に勝手に天井をつけないこと!

自分としては,斎藤先生の授業はぜひ受けてみたいと思う。